『ねぇ、何所に行くの?』

何度君にそう問うただろうか。

『大丈夫。絶対。私を信じて?』

君は何度そう答えただろうか。

全て、君と過ごした時間。




四季





いつも自信満々で。

誰にも負けないくらいのプライドを持っている君だから。

いつか、何かあったときに簡単に壊れてしまいそうで。

二度と立ち直れなくなるのではないか、と不安になる。





君と出会ってから。

僕は君に連れられて

本当にいろいろな場所へと行った。





春は花見に。


夏は海に。


秋は美術館に。





君と一緒に沢山な事を話した。


春には桜の木の下で。


夏には海辺に座って。


秋には公園のベンチで。





君はいつも笑って、僕の手を引きながら。


僕の知らない場所へと連れて行ってくれた。





冬。




今日は一体何所へ連れて行ってくれるのだろう。


いつものように君は僕の手を引きながら

僕は君の手を握り締めながら




僕は知っているんだ。

いつも君が強がっている事を。


僕は気付いているんだ。

本当は弱い君の姿に。




本当はとても寂しがりやで。

本当は誰より壊れやすい君の心。


だから君には僕がついていなくっちゃって、

そう思う。




息が白くなるような寒空の下。




君と僕が着いた先は、君の家の前。




君は照れたように笑いながら、

『ねえ、びっくりした?』

悪戯に瞳を輝かせて。

『ちょっとだけね』

僕がそういえば。

君は嬉しそうに僕の手を握り返した。




君の家に来たのは初めて。


昔君は言っていたよね?


『他人の家に行くのはその人の心を除く事と同じだから。
 私は誰にも入らせないんだ。』


それは君の僕への信頼の証。



僕にしか弱みを見せない君。


君しか知らない僕の気持ち。



君には僕が、僕には君が必要だから。



ねえ、また春が来て


新しい季節が始まるね。





次は何所へ連れて行ってくれるの?





次は僕の心の中に、来てくれるのかな。






季節が変わって、




世界の色が変わって。





何度も何度も時間がすぎて。



それでも。




何度季節が巡っても。







ずっとずっと、君の隣は僕の特等席。







・・・・・・・・・・・


謎。なんか寒かったんで。

up by 2006.10.29