童話


ここは滅びの國。


人々は死に絶え


建造物は破壊された。


それでも生き延びた僅かな人間達は


夢を求めて再び動き出した。




少年は、食料を探すために町に出たが

町にはもう、食料など残されていなかった。

しかし少年は幼い妹の為に食べ物を探さねばならなかった。


瓦礫の中、少年は一冊の本を見つけた。


赤い革張りの立派な本である。


革張りの表紙には、金字でこう書かれていた。


「 少女のための童話集 」


幼い頃、まだ母が居た頃

読み聞かせてもらった童話を思い出した。


少年は食料の代わりに、この本を持って帰ることにした。



少女のための童話集


全ての少女に捧げる。

5人の少女の物語。

醜い愛と、悪夢を。


童話の世界にあなたを綴じこめてあげましょう。




眠る少女は少年の幼い妹である。

少年は眠る少女に語りかけた。


「読み聞かせてあげよう、


          眠る少女の童話集」


by 070312